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私の「循環経済」論

原 強 

京都循環経済研究所の活動がはじまった。この研究所の基本理念は「趣意書」にあるとおり「いまここに設立される「京都循環経済研究所」は、「循環経済」の発展を通じて、持続可能な社会の形成をめざすものである。「循環経済」という用語には、「資源循環」という意味とともに、「地域循環」という意味をこめたいと考えている。「資源循環」については、いうまでもなく、大量生産・大量消費文明への反省をふまえ、限りある資源を大切に利用し、無駄な廃棄を極力回避することにより、循環型社会の形成を推進しようとするものである。同時に、地域のさまざまな資源を活用し、地域で「お金」が回り、地域が元気になる「地域循環」の可能性を探求することも目標にしている。」というものである。

京都循環経済研究所の活動をはじめるにあたって、これまで自分が関わってきた活動のなかで「循環経済」に関わるものについてふりかえり、こんごの課題を考えるための論点を整理しておきたい。

 

1 『ゴミからの出発 リサイクル社会への道』

 ごみ問題は、大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄という現代社会の経済構造(消費生活)にともないごみ量が急激に増加したこと、同時に、プラスチックごみに代表されるような自然に還らないごみが急増するなど、ごみ質が急速に変化したことにより発生したとされている。

ごみ問題に直面した多くの市町村は「ごみ減量」「ごみの適正処理」をめざし、ごみの分別・リサイクルにとりくむことになった。「分ければ資源、まぜればごみ」というスローガンも各地に広がった。

このような市町村の動きに呼応するように、消費者・市民のなかでもごみ問題に関心が高まり、リサイクル活動が始まった。とくに1990年4月22日に取り組まれた「90アースデー」から1992年のリオでの「地球サミット」にむけて「地球的規模で考え、足元から行動しよう」を合言葉に多くの消費者・市民がごみ減量・リサイクルの取組みをはじめたのである。リサイクルの対象品目はアルミ缶、スチール缶、牛乳パック、新聞、ダンボール、古着など多品目に広がり、多くの成果をあげていった。私がごみ問題に関わるようになったのも、まさにこのような時期であった。

この活動のなかで、啓発用の冊子として『ゴミからの出発 リサイクル社会への道』(かもがわ出版 1992年2月刊)を編集・発行した。私が巻頭レポートを書き、立命館大学教授(当時)の川又淳司氏に論文を寄稿していただいたものに、「ゴミをへらす53の提案」「あなたへのメッセージ」などを組み合わせてブックレットにまとめたものである。

この冊子で、私なりに強調したかったことは、ごみ問題解決のためにリサイクルの可能性を追求しよう、しかし、始まったリサイクル活動が行き詰まり、中断してしまうという事例が少なくなかったように、大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄という社会経済システムのなかで、ごみを分別回収し、再資源化し、原材料として活かしたり、再商品化するということはそれほど簡単なことではない、リサイクル活動には可能性と限界があるということであった。

すなわち、リサイクルを成り立たせるためには、①対象になるものが大量にあること、②それをあつめることができること、③あつめたものをリサイクルするための技術があること、④再生品が商品となること、⑤経済的に成り立つこと、という「リサイクルの条件」がそろわなければならないのである。

ところが、リサイクルの現実をみると、日本の技術水準からすればたいていのものはリサイクルできるのだが、リサイクルにはコストがかかる、そのコスト負担のしくみがなければ経済的に成り立たず、活動が行き詰まってしまうということを体験的に学んだのである。

 リサイクルにはコストがかかる、そのコストをだれが、どのように負担するのか、この視点こそが、その後の活動を通じて試され、磨かれてきた視点であったということができる。

 

2 ごみの分別・リサイクル

 ごみ問題に直面した多くの市町村は「ごみ減量」対策として「ごみの分別・リサイクル」を住民によびかけることになった。

 それまではごみの分別といってもたいてい「燃えるごみ」「燃えないごみ」「粗大ごみ」という区分であった。「燃えるごみ」はごみ焼却施設で焼却処理され、「燃えないごみ」は埋立て処分され、「粗大ごみ」は破砕処分したうえで焼却または埋立て処分されるというように、処分方法からさかのぼって分別区分がされていたのである。

 というのも、日本の廃棄物行政においては、産業廃棄物を除く一般廃棄物は市町村の責任で処理されることとされてきた。したがって、市町村のおかれた事情、すなわち地理的条件、人口規模、財政力量の違いによって、ごみ処理施設の条件が異なり、それにともなってごみの分別区分も違っていたのである。すなわち、ごみ焼却施設の処理能力に余裕があれば「燃えるごみ」が多く出てきても対処できるが、その余裕がなければ「燃えるごみ」をへらさなければならなくなる。同様に埋立て処分地に余裕があれば「燃えないごみ」が多く出てきても対処できるが、その余裕がなければ「燃えないごみ」をへらさなければならない、というわけである。極端な場合、埋立て処分地がない市町村では「燃えないごみ」は受け入れられないので、そのようなごみを限りなくゼロにすることが最優先されることになる。

 日本の「高度経済成長」がピークに達した70年代はじめ、東京都で「ごみ戦争」が発生した。同様に深刻なごみ問題に直面した自治体がいくつもあった。その地域のごみ発生量の急増とごみ処理施設整備の遅れが深刻な事態をまねいたのである。

 その後も大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄の経済が進展し、80年代末から90年代はじめの「バブル」期、ごみ問題があらためて深刻化することになった。

すなわち全国各地の市町村で処理能力をこえるごみの受け入れが求められるなかで、ごみ減量対策が緊急課題になり、ごみの中から再資源化できるものをとりだすということが課題としてうかびあがってきた。そして、ごみの分別区分の考え方が変わり、資源循環が可能なものについては「資源ごみ」として分別することがよびかけられるようになった。

 まず「資源ごみ」としてとりあげられたのがアルミ缶、スチール缶、びん、新聞、ダンボール、古着、牛乳パックなどである。さらにPETボトルが急増するなかで、PETボトルも対象になった。市町村のよびかけにこたえ、ごみ減量、ごみの分別・リサイクルにとりくむ消費者・市民の活動もひろがりをもつようになった。行政と消費者・市民の連携した取組みを通じて「資源ごみ」の回収がすすめば、それだけ「一般ごみ」が減量されることになったのである。がんばれば成果が出た。このようななかで、資源循環のためのビジネスも成長していったといえる。

 しかし、ごみ減量をめざし、ごみの分別・リサイクルにがんばって取組んでも、実際にはごみは減らない、ごみが増え続けるという現実に直面する中で、リサイクルだけではごみ問題は解決しない、ごみ発生抑制対策がとられなければごみは減らないということも関係者の多くが認識することになり、やがて3R、さらに2Rへ、ということが強調されることになった。

 

3 「家庭系有害廃棄物」の回収・適正処理

 ごみの分別の取組みの目的がごみ減量というところにあったことから、市町村の取組みの実際は資源ごみの分別回収が基本になった。しかし、この取組みをすすめていくと、家庭から出るごみのなかで処理困難なごみ、環境汚染や事故につながるごみの回収をどのようにすすめるのがよいのかという課題が浮かび上がってきた。

 NPO法人コンシューマーズ京都が活動を開始した時点で、新しい活動テーマとしてこの問題に着目し、「家庭から出るやっかいなごみ」の回収・適正処理という問題をおいかけることになった。手始めに消費者が感じている「危険なもの」「有害だと思われるもの」「ごみとしてだしにくいもの」をアンケートで拾い出してみたところ、「スプレー缶」「乾電池」「プラスチック類」などがあげられた。他方では、ゴミの収集・処理にあたる市町村が「処理困難」などを理由に「受け入れていないもの」を調べていくと、「化学薬品」「農薬」「タイヤ」「消火器」「バッテリー」「小型ガスボンベ」などがあがってきた。また、「受け入れている」ものの、「スプレー缶」や「乾電池」「蛍光管」など、その処理をめぐって多くの問題をかかえているごみも少なくないことがわかってきた。

このような「家庭から出るやっかいなごみ」をコンシューマーズ京都が分類整理したものが次の表である。

有害性の区分 品目例
 爆発性や引火性のあるもの  スプレー缶、カセット式ガスボンベ、小型ガスボンベ、ライター、液体燃料(灯油)、火薬
有害な物質を含むもの 化学薬品、農薬・殺虫剤、医薬品、溶剤・塗料、蛍光管、電池・バッテリー、体温計
感染性があるもの 在宅医療器具
収集・処理が困難なもの ピアノ、大型金庫、スプリング入りマットレス、自動車・オートバイ、消火器

 

 コンシューマーズ京都では、これらの「家庭から出るやっかいなごみ」の回収・適正処理を求めて、実態調査や行政・事業者団体との対話をおこなっていくなかで、問題解決の道を探っていくことになった。そのなかで、「家庭からでるやっかいなごみ」について専門家のなかでは「家庭系有害廃棄物」という用語が使われていること、諸外国の回収・処理の事例についても調査研究がおこなわれていることも学ぶことになった。

 2005年、活動の転機をむかえた。環境省の「エコ・コミュニティ事業」として「家電販売店と協働して蛍光管の適正処理システムづくりをめざす」という社会実験に取組みことになったのだ。

それ以来、「蛍光管の適正処理」という課題にこだわり、活動をすすめてきた。折しも「水銀に関する水俣条約」の採択、それにともなう国内対策の整備がすすめられる時期であり、がんばれば成果があがることになった。市町村のごみ分別項目に蛍光管、乾電池、水銀体温計、水銀血圧計などがあげられ、回収システムも整備されるようになったのである。

 

4 ごみ有料化

ごみ減量の取組みのなかで、「ごみ有料化」をめぐる議論がくりかえし行われてきた。

ごみ有料化については、当然、賛否両論がある。何の前提もなく「ごみ有料化について賛成か、反対か」と聞かれた場合、反対と答える消費者・市民が少なくないと思われる。現に私が担当している環境問題の授業で受講者にこのような問いを出した場合、反対が多くなる場合もあった。

「賛成」の論点としては、「ごみ意識の向上につながる。負担が増えることで、ごみを減らそうという意識が高まる」「結果としてごみは減る。現実的な施策だ」「ごみをたくさん出す人と、ごみを出さない人との間で不公平があったのが、なくなる」「料金収入を活かして次の施策をとればさらにごみ減量効果が出てくる」などがあげられる。

他方では、「反対」の論点としては「よけいな負担は困る」「税金を払っているのだから、税金で処理すべきだ。税金の「二重取り」は反対」「不法投棄が増える」「一度減ってもまた増える(リバウンド)」「料金収入の使途はどうなるのか」などがあげられる。

 このように賛否両論がある問題なので、実際のごみ減量施策として「ごみ有料化」にふみきれないでいる市町村も少なくない。とくに大都市になるほど合意形成がむつかしいということで、行政サイドからの提案ができずにいるようだ。

 京都市では、「京都市循環型社会推進計画」にもとづき、計画的なごみ減量・リサイクルの取組みがすすめられてきたが、このなかで、ごみ減量計画の達成のために、従来以上に分別・リサイクルを徹底することとあわせて、ごみ有料化の提案が行われた。パブリックコメントや各地の説明会での質疑・意見交換では、市民の中では賛成・反対の声が拮抗していたと思う。最終的に2006年10月からごみ有料化が実施された。その後の統計を見る限り、京都市のごみ受け入れ量はピーク時の82万トンから41万トンに削減されており、ごみ減量効果があったと評価できるようだ。

 私は、当時、京都市廃棄物減量等推進審議会の委員であったこともあり、この問題について意見を述べる機会は何度もあったが、主要に

 ・提案者の説明責任が果たされているか。

 ・決定に至るプロセスが大事。どこまで透明な議論ができたか。

 ・有料化とあわせてどのような施策を実施できるか。

 ・ごみ有料化財源の使途が明確になっているか。

などについて意見を述べたと記憶している。とくに、「有料化とあわせてどのような施策を実施できるか」「ごみ有料化財源の使途が明確になっているか」という論点はくりかえし強調したと思う。

 このような京都市におけるごみ有料化をめぐる議論は、ごみ有料化を考えるうえで貴重な経験であったといえる。その過程を検証することで多くの教訓を引き出すことができると思われる。

 

5 レジ袋有料化

 ごみ有料化は、家庭から排出される一般廃棄物について回収処理にあたる市町村と住民の間での費用の負担区分をめぐっての議論である。リサイクルもふくめてごみ処理にはコストがかかっている。無料で回収処理されているようにみえる家庭から排出されるごみであっても、市町村が処理するためのコストは税金によってまかなわれているわけで、決して無料で回収処理されているわけではない。ごみ有料化というのはそのためのコストの一部を、排出者に、排出時に求めることによりごみの減量効果を期待するものである。

これに対し、レジ袋有料化は、消費者が商品等を購入する時点でレジ袋代金を支払うことによりレジ袋の使用抑制効果を期待するものである。

家庭から排出されるごみの組成をみると、重量では生ごみ等のウエイトがとても高いのだが、容積でみるとプラスチック容器包装材のウエイトがとても高いのである。

したがって、ごみ減量を論ずる際、プラスチック容器包装材の削減が課題になる。このことから容器包装リサイクル法も準備され、市町村のごみ分別の項目にプラスチック容器包装材という項目が加わったという経過もある。

このような議論のなかで、消費者がちょっとその気になればできることとしてマイバッグを持って歩こうというキャンペーンが展開され、その延長線上でレジ袋有料化の課題が検討されたのである。

 この課題についても有料化について賛成、反対の意見が分かれ、なかなか実施にふみきれないという市町村もあった。

 京都市では長年にわたりレジ袋有料化推進懇談会が活動してきた。学識者、消費者・市民団体、食品スーパー関係者などがテーブルをともにし、レジ袋有料化をめぐって意見交換を行い、スーパー店頭でのマイバッグ持参キャンペーンなどの啓発活動をすすめてきた。

 そのような取組みの上に、2007年1月、京都市、食品スーパーと消費者・市民団体、レジ袋有料化推進懇談会が「協定書」を交わし、レジ袋有料化にふみきる事業者の後押しをすることになった。この取組みは「京都方式」として全国的にも注目され、同じような方式でレジ袋有料化にふみきった地域も相ついだ。

レジ袋有料化を行った店舗ではマイバッグ持参率が急速に高まり、80%以上に達した店舗も出てきた。2015年10月から、大手スーパーから中小スーパーへと「協定書」にもとづくレジ袋有料化実施店舗が広がった。

この取組みのなかで、こんごの課題として、コンビニ、百貨店、書店などの取組みが注目されているが、現状ではなおハードルが高いようである。

 現在、プラスチックごみによる環境汚染問題が緊急に解決すべき課題として浮かび上がっている。このなかであらためてプラスチック容器包装材の削減、とりわけPETボトルの削減とともに、レジ袋の使用削減の課題が特別に重視されており、これまでレジ袋有料化に慎重な姿勢をとってきた市町村でも実施に踏み切る動きも出てくるだろう。その場合でも住民のごみ意識向上の取組みの積み上げがあってこそその効果が上がるということも経験的にいえるのではないかと思っている。

 

6 拡大生産者責任

 「拡大生産者責任」とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方である。もとはOECD「拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル」によって定式化されたもので、わが国でも循環型社会形成推進基本法を制定するにあたり、ごみ排出者の責任を問う「排出者責任」の考え方とともに、事業者の責任としてその考え方が書き込まれたものである。

 循環型社会形成推進基本法の制定と前後して2002年11月に出された中央環境審議会の意見具申では

 「拡大生産者責任の趣旨は、製品が使用済みになった場合における環境負荷の管理・削減  

に最も支配力を有する生産者に一定の責任を求めることにより、使用済み製品に係る環境負荷低減のメカニズムを市場に組み込み、環境コストを正しく市場に反映させることにある」

と述べている。

 しかし、家庭系有害廃棄物の適正処理をめぐる取組みや、容器包装リサイクル法のもとで作られたプラスチック容器包装材の回収・適正処理の取組みなどをみても、実際には「拡大生産者責任」の考え方が具体的な制度や措置として目に見える形で運用されてきたとは言い難いように思われる。結局、ごみを出す消費者の分別排出協力を求める「排出者責任」が強調され、最終的には廃棄物処理法のもとで回収処理責任を負う立場にある市町村の責任が問われることになっているのではないか。また、結果としてプラスチック容器包装材の使用削減につながっていないのではないか。

 「拡大生産者責任」をリサイクルコスト負担ということと関連づけて考えてみると、生産者として製品のリサイクルや処分にともなう財政的責任をどれだけはたすのかということになるのだが、生産者が製品価格にあらかじめリサイクルコストを組み込んで市場に出荷するというケースはごく限られている。したがって、製品が使用され、最終的に廃棄物として排出される段階でリサイクルコストをだれが負担するかということが問題になるのが実態なのではないか。

 この間、蛍光管のリサイクルということに関わってきたが、蛍光管のリサイクルには当然コストがかかるわけで、たびたび「拡大生産者責任」について論じてきたが、具体化されることはなかったとしか言いようがない。結果として、家庭から出る蛍光管は一般廃棄物として市町村の財政負担で処理され、事業所からの蛍光管は産業廃棄物として排出者の負担で処理されることになる。したがって、財政負担ができない市町村では蛍光管のリサイクルはシステムが準備されない、産業廃棄物としての蛍光管についてもコストがかからない排出ルートに流れてしまい適正処理がすすまない、という実態があった。「水銀に関する水俣条約」にともなう国内対策が示されるなかで、水銀による環境汚染防止の視点から、ようやく蛍光管のリサイクルがすすみ始めたといえるが、生産者のリサイクルコスト負担については何も動いていないといわざるをえない。

 

7 「循環型社会」にむかって

これまで「リサイクルにはコストがかかる」「リサイクルだけではごみは減らない」「家庭系有害廃棄物の回収・適正処理」「ごみ有料化」「レジ袋有料化」「拡大生産者責任」についてのべてきた。これらの論点は、京都消費者団体連絡協議会、NPO法人コンシューマーズ京都の活動を通じて問題になってきたことであり、また現在も直面している問題である。これらの問題について深め、問題解決のための取組みがひきつづき求められている。

国段階では循環型社会形成推進基本法のもとでさまざまな取組みが進められてきたが、このほどまとめられた第四次循環基本計画をふまえ「循環型社会」にむかっての取組みがすすめられるのであろう。とくに当面、多種多様な地域循環共生圏の形成による地域活性化、多発する自然災害のもとでの災害ごみ対策、国際的な資源循環体制の構築などが課題としてあげられている。なかでも原発事故により放出された放射性物質による環境汚染からの再生と復興やプラスチックごみの資源循環戦略の策定などは緊急な課題であるといってよい。

いま、ここに活動をはじめた「京都循環経済研究所」としても、このような大きな視野からの問題を、個別具体的な問題から取り上げ、問題解決の方向を示すための調査研究や情報発信につとめていきたいと考えている。皆様のご理解とご協力をお願いしたい。

<注>

1 この論稿は、小論「「ごみ減量・リサイクル」コスト負担のあり方をめぐって」(「くらしと協同の研究所」の「季刊くらしと協同」2015冬号NO15に掲載)を参考にした。

2 「家庭からでるやっかいなごみ」に関わってはコンシューマーズ京都がパンフレットを作成している。また、化学物質リスク研究会編『くらしの中の化学物質』(かもがわ出版 2004年)に関連論文が収録された。

3 蛍光管の適正処理に関わってはコンシューマーズ京都によって環境省エコ・コミュニティ事業報告書(2005年)をはじめ多数のパンフレット、報告書がまとめられてきた。主要なものは蛍光管リサイクル協会のホームページで見ることができる。

4 ごみ有料化に関しては山谷修作著『ごみ有料化』(丸善株式会社 2007年)、同『ごみ見える化』(同 2010年)が役立つ情報を提供してくれる。『ごみ見える化』第12章「「見える化」に取り組んだ京都市の有料化」は、京都市のごみ有料化の取組みの経験と教訓を整理したものである。ごみ有料化についてあらためてふりかえり、こんごの課題を整理するうえでは参考にしたいレポートである。

5 レジ袋有料化に関しては舟木賢徳著『「レジ袋」の環境経済政策』(リサイクル文化社 2006年)がヨーロッパや韓国の取組み事例も含めて論点整理している。 

6 「拡大生産者責任」とよく似た用語で「製造物責任」という用語がある。それぞれの意味について混同しないようにしなければならない。