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「LED調査研究」中間まとめ

 

調査研究「LEDのリサイクルの可能性を探る」

 

中間まとめ

 

蛍光管リサイクル協会

 

蛍光管リサイクル協会は、京都市ごみ減量推進会議の助成をうけ調査研究事業「LEDのリサイクルの可能性を探る」に取組んでいます。これまで、第一の論点「廃棄物として排出されるLEDをどこで回収するのがよいか」、第二の論点「LEDのリサイクルの可能性はあるのか、素材としては何を活かすことができるのか」、第三の論点「LEDのリサイクルコストはどれだけかかるのか、そのコストはだれが、どこで負担するのか」について検討してきました。

 

同時に、野村興産関西工場でのLED手分解実験、(株)浜田・京浜島エコロジセンターでのLED手分解事業の見学、関係者のヒアリングなどに取組んできました。

 

これまでの調査研究で確認できたこと、残された課題などを「中間まとめ」として整理しておきます。

 

 

 

1 LEDのリサイクルは「素材を活かす」ということで可能である

 

 まず、これまでの調査研究を通じてLEDのリサイクルは可能であることをつかむことができました。リサイクルというとき、どんなイメージをもつのかということが問題になりますが、LEDの場合、牛乳パックからトイレットペーパーができるというように、具体的な再生品ができるわけではありません。素材を活かす、すなわち、LEDを構成するパーツのアルミ、プラスチック、LED基板、変圧器、口金、コイルなどから有用な素材や希少金属類を取り出し、活用するということをもってリサイクルと考えるなら、LEDは十分リサイクルできるといえるのです。

 

 その場合、リサイクルの技術としては「手分解か、機械破砕・選別か」ということを対立的に考えるのではなく、ケース・バイ・ケースで、手分解もよし、機械破砕・選別もよし、という思いを持つにいたりました。

 

 これから蛍光灯にかわりLEDが照明器具市場の主役になり、それが何年か先には使用済みになり、廃棄物として大量に排出されるわけで、その受け皿をいまから準備しなければならないと考えていたわけですが、今回の調査研究で、実際に先行事例を見ることができたように思います。とくに、関係者のヒアリングや見学などで、機械破砕・選別のための技術が格段に向上しており、大量のLEDのリサイクルも可能であることを学ぶことができました。

 

 したがって、LEDのリサイクルの技術はある、事業者も存在している、問題は、排出されるLEDを回収し、LEDリサイクル事業者のところに持ちこんでいくための社会的・経済的システムをどのようにしてつくりあげていくかということになるようです。

 

 

 

2 事業所から排出されるLEDのリサイクルシステムの構築が急務である 

 

これからLEDが大量に排出されるという点では、商業施設、工場、病院、学校、金融機関など、照明器具を蛍光灯からLEDにそっくり入れ替えた事業所からの排出が見込まれます。

 

「LEDの寿命は40000時間」と言われてきましたが、実際には使用しているうちに照度が落ちてくるわけで、仮に80%くらいまで実効照度が落ちた場合、総入れ替えがおこなわれることがあるということです。実際、初期に先行的にLEDが導入された施設からは、順次、LEDが廃棄物として排出されるようになっています。店舗の閉鎖・置き換えなどによるものも出始めています。最近になってLEDを導入した施設でも5、6年もすれば廃棄物がではじめることになります。

 

このように考えるならば、LEDのリサイクル市場の形成はもう目の前にきている、これらの事業所から排出される大量のLEDのリサイクルシステムの構築が急務であるということができるのです。

 

具体的には、事業所から排出されるLEDの廃棄物処理法のもとでの位置づけの整理、収集運搬にあたる事業者、リサイクル事業者の認定・育成が必要でしょう。

 

とくに大量のLEDのリサイクルにあたる事業者の技術・施設の改善、そのための財政的基盤の整備が課題です。

 

収集・運搬にあたる事業者の問題としては、LEDは使用済み蛍光灯のように水銀が使用されているわけではないので、多様な事業者の参入が考えうるでしょうが、これまで使用済み蛍光灯を回収してきた事業者が、使用済み蛍光灯とともにLEDを回収していくことの現実的可能性もあるのではないでしょうか。

 

LEDの排出者が処理料金を負担するのか、その場合、どのくらいのコストになるのかは、最後に残る課題でしょう。

 

 

 

3 家庭から排出されるLEDは小型家電として回収してはどうか

 

 事業所から排出されるLEDに比べると、家庭からのLEDが排出されてくるのはもう少し時間がかかるものとみられます。また、出てくるとしてもバラバラに、いろいろなものが出てくることになり、そのリサイクルシステムをつくるのは簡単ではないようです。

 

それでも家庭からのLEDをうまく回収し、リサイクル事業者の手に届くならば、技術的には素材を活かすことは可能なのです。

 

 そういうことから、今回の調査研究では、家庭からのLEDは小型家電のリサイクルシステムを利用してリサイクルするようにしてはどうかという「仮説」のもとに検討を進めてきました。結論的には、それでよいのではないかと思っています。

 

 すなわち、小型家電リサイクル認定事業者のもとにうまく持ちこまれるならば、他の小型家電と同時に機械破砕し、必要な素材を取り出すことは出来るのです。問題は、回収システムが未整備なので、まだ集まっていないということです。

 

 したがって、家庭から排出されるものは一般廃棄物として市町村のごみ収集システムのなかで回収し、リサイクルルートに乗せていくことが必要とされるのであり、そのためのルールやしくみをつくらなければなりません。そのためには、小型家電リサイクル法のもとでのガイドラインに家庭から排出されるLEDについて位置づけを明確にし、それをうけて市町村のルールやしくみを整備していくことが必要なのです。その際、家電量販店などに要請し、引き取り拠点になってもらうように要請していくこともあってよいのではないでしょうか。

 

 当面、検討が必要なのがLED電球の取り扱いです。LED電球はすでに廃棄物として排出されるようになっています。市町村ごとの取り扱いルールを明確にすることが求められています。

 

市町村としてはこれらのあらたな施策のための予算措置が必要とされます。