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「LED調査研究」論点2

 

<論点2>LEDのリサイクルの可能性はあるのか、素材としては何を活かすことができるのか

 

 

 

1 リサイクルの可能性と限界

 

 これまでからごみ問題解決のためにさまざまな品目についてリサイクルの取組みがよびかけられてきましたが、実際には始まったリサイクル活動が行き詰まり、中断してしまうという事例が少なくありません。これらの取組みの中で、ごみを分別回収し、再資源化し、原材料として活かしたり、再商品化するということはそれほど簡単なことではない、リサイクル活動には可能性と限界があるということを痛感することがしばしばありました。

 

 このような経験を通じて、リサイクルを成り立たせるためには、①対象になるものが大量にあること、②それをあつめることができること、③あつめたものをリサイクルするための技術があること、④再生品が商品となること、⑤経済的に成り立つこと、というリサイクルの条件がそろわなければならないのです。しかし、リサイクルの現実をみると、日本の技術水準からすればたいていのものはリサイクルできるのですが、リサイクルにはコストがかかる、そのコスト負担のしくみがなければ経済的には成り立たず、活動が行き詰まってしまうということをいろいろな場面で学んできたのです。<この点については本紙第2号で論じています。>

 

 今回、LEDのリサイクルの可能性について考える場合も、これらのリサイクルの条件を手掛かりに検討してみることにします。

 

 

 

2 リサイクルの条件――LEDの場合

 

  1. 対象になるものが大量にあるか

 

 今回の調査研究事業の背景について述べてきたことですが、照明器具市場の主役が蛍光灯からLEDに変わりつつあります。したがって、現時点ではまだLEDが大量に排出されているわけではありませんが、現在普及しているLEDが次第に寿命をむかえ廃棄物として排出されるようになることは間違いありません。それらをうまく回収することができるならば、リサイクルの対象は大量にあるという事が出来ます。

 

  1. それをあつめることができるか

 

 LEDの回収システムはまだ整備されていません。したがって、今回の調査研究事業の「論点1」で検討したように、家庭から排出されるLED照明器具については、市町村による回収、もしくは家電販売店などの引き取り制度を活用し、小型家電リサイクルの仕組みの中でリサイクルルートにのせていったらどうかという「仮説」的な提案をしたいと考えています。

 

事業所から排出されてくるLEDは産業廃棄物として回収することになるでしょうが、リサイクルして資源として活かしていくためにはやはり資源化できる廃棄物として分別回収することが必要とされます。

 

 いずれにしても、LEDを使い捨てにしないで再資源化するという目標のもとに回収システムを整備していくことが必要であり、それができればLEDのリサイクルの可能性は大きくなることでしょう。

 

  1. リサイクルのための技術があるか

 

 日本のリサイクル技術はたいへんすぐれており、その気になればLEDもふくめてたいていのものは技術的にはリサイクルすることが可能だといえるでしょう。LEDの場合、素材でいえばプラスチック、アルミ、ICチップを含む基板などから構成されているとすれば、それらを選別し、再資源化ルートにのせていくことが必要になります。その場合、再資源化の技術内容については手分解がよいのか、機械破砕・選別がよいのか、素材としては何を活かすことができるのかをふくめて、こんごの検討課題です。

 

  1. 再生品が商品となるか

 

 LEDからどのような再生品ができるのか、いまの時点で明確な見通しを持てませんが、プラスチックはどのように活かせるのか、アルミはどのように活かせるのか、ICチップをふくむ基板からどのような素材がどれだけ取り出せるのか、試行的な取組みが必要になるのでしょう。

 

  1. 経済的に成り立つのか

 

 これまでのさまざまなリサイクルの経験からいって、最後はこの点がポイントになります。さまざまな品目でそれぞれについて、回収にどれだけのコストがかかるのか、リサイクルによってどれだけの有価物が取り出せるのか、取り出すことができた有価物で回収コスト等がカバーできるのか、もしカバーできなければだれがどのようにコストを負担するのか、それぞれ実践的に答えを導き出してきたわけですが、それではLEDの場合どのようなことになるのか、今回の調査研究を通じて何らかの方向が見出せたらと考えています。