· 

気候危機への挑戦

 

脱炭素社会へ向かってただちに行動を

 

2015年12月に採択された「パリ協定」がいよいよ実施の段階にはいりました。

 

「パリ協定」の目標は、かつてない気候危機にたちむかうために、地球の平均気温の上昇を2℃未満、できれば1.5℃で抑えるために、2050年には温室効果ガスの排出を実質ゼロにしようというものです。この間に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「1.5℃特別報告書」につづく各種レポートでも、気候危機が現実化しており、残された温室効果ガスの排出枠も、対策のための時間もなくなっていることについて強く警告しています。

 

昨年、マドリードで開催されたCOP25は、「パリ協定」実施を前に各国政府が危機意識を共有し、ただちに脱炭素化にむけて行動を開始するための機会でしたが、結果としては、グレタ・トウンベリさんのよびかけにこたえる若者たちの行動が目立ったものの、肝心の点については先送りになってしまいました。日本政府の対応についても残念なことに「化石賞」の対象になるという結果でした。

 

 あいつぐ巨大台風、集中豪雨にともなう自然災害、記録的な猛暑や暖冬、日本の現実を見ても、だれもがおかしいと実感できるように気候変動は進行しています。事態は待ったなしです。

 

 残された時間は限られています。この10年の間に、脱炭素社会にむかって社会・経済全体が大きく転換することが求められているのです。私たちひとりひとりが、気候危機に立ち向かう覚悟をもち、行動を開始しなければなりません。

 

 このようななかで、私たちの周辺でも、自治体や多くの企業で「2050年、実質ゼロ」にむかう意欲的な取組みがはじまっています。

 

この流れをより大きくし、「パリ協定」の目標達成にむかって、私たちが声を上げ、行動しなければならないのです。

 

日本の社会・経済全体の転換を確実なものにするためには、日本政府が脱炭素化にむかって舵をきる決意を内外に明らかにし、あらゆる場面で気候危機対策を明確にし、動き始めた自治体や企業、消費者・市民の動きを促進することが必要です。とりわけ、石炭火力から撤退し、エネルギー政策を、原発にたよらない、再生可能エネルギー主体の政策に転換することが急務だといわねばなりません。