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常識にとらわれない『佰食屋』が目指すもの

 

「食べ物を捨てたくない。

 

~常識にとらわれない『佰食屋』が目指すもの~」

 

 

 

9月5日(土)午後、京都経済センター6階会議室で開催された京都市ごみ減量推進会議主催の講座に参加しました。このところZOOM会議・セミナー続きで、久しぶりの「リアル」講座でした。

 

講師の中村朱美さんのお名前は、いろいろな機会に聞いていましたが、直接、お話を聞く機会がなかったので、とてもよい機会になりました。

 

中村さんの『佰食屋』は、メニューは国産牛使用の「ステーキ丼」「おろしポン酢ステーキ定食」「ハンバーグ定食」に限定、どんなに売れても100食に限定、営業時間はランチタイムの3時間半に限定、しかも「売り切れ」で閉店、など、飲食業の常識を覆すもので、このビジネスモデルがなぜ生まれたのか、なぜうまく軌道にのったのかというお話は実に興味深いものでした。

 

この講座の目標の「ごみ減量」ということとの関係では、このような事業スタイルである限り、食材がまったく無駄にならないので、食品ロスはほとんど発生しないということです。牛肉を主たる食材にしながらも、仕入れたものはその日のうちに調理・販売してしまうので、冷凍庫はもともと無い、冷蔵庫もほぼ空っぽ、という話にはびっくりでした。

 

役割分担と責任の明確化、さまざまな事項についての自己決定権を通じてスタッフの意識が「この会社は私の会社」と変わっていったという組織運営も見事だと思いました。

 

中村さんの前職の経験が活かされた広報活動も「なるほどそうか」と感じさせるものがありました。

 

中村さんのお話を通じて、『佰食屋』が目指しているのが、売上・利益目標をいかに達成していくのかということではなく、「おいしい」と喜んでもらえる食事を提供することを喜びとしながら、とにかく「早く帰れる」メリットをいかして、中村さん自身も、スタッフのみなさんも、「働くこと」以外の、もう一つの「自分の生活」を楽しむことにある、ということもよく伝わってきました。「ワーク&ライフバランス」とか「働き方改革」ということがいろいろ言われていますが、『佰食屋』では「あるべき姿」が具体的に示されているように思いました。

 

このような『佰食屋』の事業経営にも、コロナウイルス感染による影響が及んでいます。大阪府北部地震と西日本豪雨の影響を乗り切ってきた『佰食屋』も、今回はとんでもない危機に直面しているのです。この重大なピンチを乗り越えたとき、『佰食屋』がどんな形で事業展開をはかっているのか、注目したいと思います。