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情報ガイド プラスチックのリサイクル

 

情報ガイド プラスチックのリサイクル

 

プラスチックは「軽くて丈夫」「さびや腐食に強い」「衛生的で密封性が高い」などの特性があり、製品として、容器包装材として、暮らしの隅々に入りこんでいます。それがごみになったとき、どこで、どのように処理されているのでしょうか。現実は、廃プラスチックがあふれているということです。

 

今回は、プラスチックのリサイクルの現状を、プラスチック循環利用協会の情報をもとに考えてみることにします。同協会の「プラスチックリサイクルの基礎知識」には、次のような統計が示されています。

 

 

 

<廃プラスチックの総排出量、有効利用量、有効利用率の推移(単位:万トン)>

 

2005

2010

2013

2014

2015

2016

2017

2018

総排出量

1006

945

940

926

915

899

903

891

マテリアルリサイクル

185

217

203

199

205

206

211

208

ケミカルリサイクル

29

42

30

34

36

36

40

39

サーマルリサイクル

368

465

535

534

521

517

524

502

有効利用量合計

582

723

767

768

763

759

775

750

有効利用率(%)

58

77

82

83

83

84

86

84

 

 

 

これは、廃プラスチックの総排出量、有効利用量、有効利用率の推移を示したものです。

 

プラスチックのリサイクルというとき、ここに示されたような三つの手法があげられます。

 

「マテリアルリサイクル」は、プラスチックの材料として再生利用するものです。

 

「ケミカルリサイクル」は、原料・モノマー化、高炉還元剤、コークス炉化学原料化、ガス化、油化などの方法で利用しようというものです。

 

「サーマルリサイクル」は、セメント原・燃料化、ごみ発電、固形燃料化などの方法でエネルギー回収しようというものです。

 

これらの手法によるリサイクルを「有効利用」としています。他方では、「有効利用」されていないというものは、単純焼却または埋立に回っているものになります。

 

「マテリアルリサイクル」については、従来、この中に「輸出分」が含まれていました。2018年の数字も「輸出分」91万トンを含んでいます。中国などが廃プラスチックの輸入規制にふみきったことで31万トン減だということですが、この分はどこにまわったのでしょう。2019年の数字が出てくるとわかることがあるかもしれません。PETボトルの繊維利用は6万トン程度の実績があるとしても、その他の「再生樹脂投入」など、廃プラスチックを材料として活かすというリサイクルの実態については、もう少し現場レベルでの調査もふくめ、統計数値としてもよく確かめたいところです。

 

「ケミカルリサイクル」については、その技術的な可能性は示されていますが、その実態はよくわかりません。その多くが焼却利用と区別がつかないものと思われるものです。また、「ガス化」などの実績は確認できません。

 

廃プラスチックをめぐる議論のなかで指摘される最大の問題点は、「サーマルリサイクル」を有効利用に加えてよいかという問題です。「サーマルリサイクル」は、単純焼却と区別するにしても、結局、廃プラスチックを燃やして熱を回収・利用することであり、欧米の基準ではリサイクルにはふくめていないものだといわれています。日本では廃プラスチックのリサイクルの多くがこの手法によるものです。

 

このようなことを考えると、プラスチックのリサイクルについてはいうほど簡単なことではないのであり、さまざまな角度から検討すべきことがとても多いといわねばなりません。