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地球温暖化対策条例の改正骨子(案)についての意見

 

2020年10月9日

 

京都市地球温暖化対策室 御中

 

 

 

地球温暖化対策条例の改正骨子(案)についての意見

 

京都循環経済研究所

 

所長 原  強

 

 

 

京都市が示している「地球温暖化対策条例の改正骨子(案)」について、京都市印刷物第023091号のパンフレットをもとに、以下のとおり、意見を表明します。

 

 

 

1 今回の条例改正については、現在、私たちが直面している「気候危機」にたちむかう京都市の決意を内外に宣言するものとしていただきたい。1pの「条例改正の背景」の部分に基本的な論点が示されているが、この内容を条例の「改正趣旨」として文書化し、明確に示すようにしていただたい。条例の「前文」として表現するという手法もあるように思う。3pで「基本理念」を追加・明記するということが提案されているが、この手法も適切なものといえる。

 

2 2050年の目標として「二酸化炭素排出量正味ゼロの実現」を掲げることは現時点で絶対に必要なことである。この目標達成のための取組みをバックキャストの考え方で進めるということも適切なものである。

 

3 2050年目標<達成への道筋>として2030年までを「行動の10年」とし、2030年までの取組みの上に、新たな仕組みや先端技術を積極的に導入し「CO2排出量正味ゼロ」に挑戦するという考え方を示していることも適切である。

 

4 3pの「各主体の責務」の改正案については妥当なものであるといえる。今回、観光旅行者等について責務内容が明確にされたことも適切なことである。これについては、実効性をたかめるための周知徹底の方法について工夫していただきたい。

 

5 4pの「削減目標」については、結論としては提案されている「改正の内容」でよいと思うが、基準年度を変更したことの意味や、そのことが実際に数値に及ぼす影響などを透明感のある形で説明していただきたい。最近は石油消費量や電気使用量などをどのようにCO2に換算するのかということを論ずる機会があまりないので、個々の取組みの成果を「見える化」するという点からも、換算の手法や換算係数などについての丁寧な説明がほしいように思う。

 

6 4pの「重点的に施策を進める分野」は、これからの取組み全体をリードするものであり、どこまで実行計画にアクションプランとして具体的に落とし込むかが重要であるように思う。

 

7 「気候危機」といわれる現状のもと、「気候変動適応策」の重要性について論ずることも必要なことであろう。そのための取組み内容が5pの「まちづくり」の部分に記載されているが、「適応策」として独自にとりあげるのがよいのではないか。同じ5pの下段に「市民・事業者の皆様に努めていただく取組」の部分では「その他」に続き「適応策」を新設するような扱いになっているが、このような扱いがよいのではないか。

 

8 「市民・事業者の皆様の取組」以下の個々の問題については、関係者(団体)との意見交換を重ね、実効性のある課題設定ができるようにしていただきたい。

 

9 京都は「京都議定書」誕生の地と言いながら、最近、「地球温暖化防止京都会議(COP3)」当時に比べると、地球温暖化対策についての市民・事業者の取組みが残念ながら低調になっているように思う。今回の条例改正をめぐる議論のなかから、各分野でアクションプランが具体化され、新たなムーブメントがはじまることを期待したい。

 

10 京都府との連携については十分に調整していただき、オール京都の取組みが有効に推進できるようにしていただきたい。

 

 

 

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