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プラスチック資源循環促進法のめざすもの

プラスチック資源循環促進法のめざすもの

 

プラスチック資源循環促進法が4月から施行されました。この法律がめざしていることについて、以下、プラスチック資源循環促進法のための特別サイト

https://plastic-circulation.env.go.jp/

の記事をもとに紹介します。

 

1 プラスチック使用製品設計指針と認定制度

プラスチックの資源循環を促進するためには、プラスチック製品の設計の段階における

RRenewableの取組が不可欠です。

この制度では、「プラスチック使用製品設計指針」において、プラスチック製品の製造メーカー等が取り組むべき事項及び配慮すべき事項を定めました。また、この指針に則した製品の設計のうち、特に優れた設計を主務大臣が認定する制度を創設しました。

国は、認定したプラスチック製品について、グリーン購入法上の配慮をすることやリサイクル設備を支援すること等により、環境に配慮したプラスチック製品の利用を促していきます。

 

プラスチック使用製品設計指針

(1) 構造

1 減量化

・できるだけ使用する材料を少なくすること

2 包装の簡素化 

・過剰な放送を抑制すること

3 長期使用化・長寿命化

  ・製品全体の耐久性を高めること

  ・繰返し使用に耐えるものとすること

  ・部品を容易に交換できる構造とすること

  ・容易に修理することができるようにすること

4 再使用が容易な部品の使用又は部品の再使用

  ・再使用が容易な部品をしようすること

  ・部品の再使用をすること

5 単一素材化等

  ・製品全体又は部品ごとの単一素材化又は使用する素材の種類を少なくすること

6 分解・分別の容易化

  ・部品ごとに容易に分解・分別できるようにすること(リチウムイオン蓄電池とその他の部品等とを容易に分解・分別できることが望ましい)

  ・部品等を取り外すまでに必要な工程数ができるだけ少なくなるようにすること

  ・使用されている材料の種類の表示を行うこと

7 収集・運搬の容易化

  ・可能な限り収集・運搬を容易にするような重量・大きさ、形状および構造とすること

8 破砕・焼却の容易化

  ・再使用又は再生利用が難しい部品等については、破砕や焼却の容易化に配慮すること

(2)材料

1 プラスチック以外の素材への代替

2 再生利用が容易な材料の使用

3 再生プラスチックの利用

4 バイオプラスチックの利用

 

2 特定プラスチック使用製品の使用の合理化

 この制度では、商品の販売または役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック製品のうち、以下の「特定プラスチック使用製品」を無償で提供している小売・サービス事業者が削減の取組みを行うこととしています。

 

対象品目

対象業種

フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー

コンビニ、スーパー、百貨店、ホテル、旅館、飲食店、フードデリバリー 等

ヘアブラシ、くし、カミソリ、シャワー用キャップ、歯ブラシ

ホテル、旅館 等

ハンガー、衣類用カバー

スーパー、百貨店、クリーニング店 等

 

対象となる特定プラスチック使用製品提供事業者は、特定プラスチック使用製品の提供量の削減のために、使用の合理化に取組むことになっています。

●提供方法の工夫

・消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること

・消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供(ポイント還元等)すること

・提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認すること

・提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促すこと

●提供する特定プラスチック使用製品の工夫

・薄肉化又は軽量化その他の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類(再生プラスチック、再生可能資源等)について工夫された特定プラスチック使用製品を提供すること

・商品又はサービスに応じて適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供すること

・繰り返し使用が可能な製品を提供すること

●先行事例紹介

・飲食店やコンビニエンスストアなどで、木製スプーンの提供や紙ストローを提供する

・テイクアウトの飲料の蓋をストローが不要な飲み口機能付きに変更する

・スプーンやフォークを有償で提供する

・宿泊施設で、アメニティを部屋には置かず、必要な方はフロントに声をかけたりバイキング形式で取ることができるようにする

・クリーニング店でハンガーを店頭回収し、リユース又はリサイクルを行う

 

3 製造・販売事業者による自主回収・リサイクル

プラスチックの資源循環を促進するためには、プラスチック使用製品の性状や排出実態について情報を持ち合わせている、当該プラスチック使用製品の製造、販売又は提供する事業者が、自治体や消費者と協力して、積極的に自主回収・再資源化を行うことが期待されています。
 回収拠点が増加することで消費者が使用済プラスチック使用製品の分別・回収に協力しやすくなり、製造・販売事業者等にとっても効率的に資源を集めることが可能になります。
 この制度では、製造・販売事業者等が「自主回収・再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく業の許可がなくても、使用済プラスチック使用製品の自主回収・再資源化事業を行うことができます。
 計画の作成にあたっては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」、「分別収集物の基準並びに分別収集物の再商品化並びに使用済プラスチック使用製品及びプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化に必要な行為の委託の基準に関する省令」及び「自主回収・再資源化事業計画認定申請の手引き」を参照する必要があります。
 なお、「再資源化」に熱回収は含まれませんので、再資源化を含まずに熱回収のみを再資源化事業の内容とした再資源化事業計画は、認定の対象にならないことになっています。

 

4 排出事業者による排出の抑制・再資源化等

1 排出事業者が取り組むべき排出の抑制や再資源化等

排出事業者(事務所、工場、店舗等で事業を行う多くの事業者が対象)は、その事業活動に伴い生ずるプラスチック使用製品産業廃棄物等を適正に処理する責任を有していますが、加えて、一層のプラスチックの資源循環の促進のため、積極的なプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等が求められます。
 具体的には、排出事業者には、「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準となるべき事項等を定める命令」(排出事業者の判断基準省令)に基づく排出の抑制・再資源化等の取組が求められます。

2 再資源化事業計画

この制度では、排出事業者等が「再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行うことができます。
 計画の作成にあたっては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」、「分別収集物の基準並びに分別収集物の再商品化並びに使用済プラスチック使用製品及びプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化に必要な行為の委託の基準に関する省令」及び「排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き」を参照。

 

事業所におけるプラスチックごみの排出量の削減に取り組む事例から

●自販機をアルミ缶・スチール缶のみにシフト(大分県佐伯市)
非常用飲料水をアルミ缶に換え、賞味期限も50年に長期化し、ペットボトルごみの排出頻度も削減(株式会社アイエッセンス)

●紙製クリアファイルの利用(宮城県気仙沼市、埼玉県、一般財団法人静岡経済研究所、サンコーフォームズ株式会社)

●社内での弁当販売で、リターナブル容器を利用している業者を採用(三菱総合研究所、TOBISHIMA CORPORATION

●サンプル発送袋に紙やバイオマスプラスチック配合品を採用(株式会社グラセル)

●警備機器類のリユースできる部品を再利用したり、リサイクルに取組む。(ALSOK)

●ワイシャツ包装の襟や袖の形状を保つためのプラスチック製の蝶キーパーやクリップを紙製へ転換(株式会社コナカ)。

●靴下のフックやクリップを紙製へ転換(福助株式会社、助野株式会社)

●詰め替え部品について、カートリッジごと交換ではなく、テープそのもの等だけを交換する方式に変更(カシオ計算機株式会社)

●啓発物品のプラスチック包装を省略(愛知県名古屋市)

 

5 市区町村によるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集・再商品化

これまでプラスチック容器包装廃棄物は、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)に基づき、分別収集、再商品化が進められてきましたが、プラスチック容器包装廃棄物以外のプラスチック使用製品廃棄物は、燃えるごみ等として処理されています。
 同じプラスチックという素材であるにも関わらず、プラスチック製容器包装は資源物等として収集され、プラスチック使用製品廃棄物は燃えるごみ等として収集されるというわかりにくい状況にあったため、わかりやすい分別ルールとすることを通じてプラスチック資源回収量の拡大を図ることを目指し、本制度では、プラスチック製容器包装廃棄物以外のプラスチック使用製品廃棄物についても再商品化できる仕組みが設けられました。
 具体的には、市区町村は、プラスチック使用製品廃棄物の分別の基準を策定し、その基準に従って適正に分別して排出されるように消費者・市民に周知するよう努めなければならないこととなっています。
 この制度により、市区町村は、分別収集されたプラスチック使用製品廃棄物を、市区町村の状況に応じて以下の2つの方法で再商品化することが可能となります。
(1)容器包装リサイクル法に規定する指定法人(公益財団法人日本容器包装リサイクル協会)に委託し、再商品化を行う方法
(2)市区町村が単独で又は共同して再商品化計画を作成し、国の認定を受けることで、認定再商品化計画に基づいて再商品化実施者と連携して再商品化を行う方法

市区町村では、この提起をうけてどのような取り扱いにすべきか、それぞれ見直し・検討がされています。

 

以上、プラスチック資源循環促進法がめざしていることのあらましを紹介してきました。

不明な点は、プラスチック資源循環促進法のための特別サイト

https://plastic-circulation.env.go.jp/

 

で確認してください。