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COP27 1.5℃目標に向かって

「1.5℃目標」へ各国の取組み強化を

温暖化による「損失と被害」の救済も焦点に

 

 11月6日、エジプトのシャルム・エル・シェイクでCOP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議)が始まりました。

 今回のCOP27の課題は、2015年の「パリ協定」、昨年のCOP26の「グラスゴー気候合意」をふまえ、いまや「まったなし」の状態にある気候変動問題にどのように対処するのかが最大のテーマです。しかし、現実は厳しい状況にあり、現在の取組の範囲では「世界の共通目標」とした「1.5℃目標」は達成できないとされています。

 開会式の冒頭にスピーチしたCOP26議長アロック・シャルマ氏は「世界が1.5℃の目標の道筋にはない」とし、「あと何回警鐘を鳴らさねばならないのか」と強調し、それをうけた今回のCOP27議長サーメハ・シュクリ氏は、温暖化による「損失と被害」の実態をふまえ「今回のCOP27の課題は資金の問題だ」と強調しました。

 また、サイモン・スティル条約事務局長は、COP26以降、NDC(各国が決める削減目標)が十分に集約されていないことを指摘し、①1.5℃目標に沿った取組み強化、②「損失と被害」に関する議論をすすめること等を提示しました。

 翌日の首脳級会合では、冒頭、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「この10年間に勝敗が決する」「われわれは気候地獄への高速道路で、アクセルを踏みっぱなしだ」と訴えました。

この首脳級会合には100を超える国・地域から首脳が集まったとされますが、日本の岸田首相の姿はありませんでした。

 

 COP27の会期は11月18日まで。この期間中にどれだけ議論が深まり、どのような合意が得られるのか注目していかねばなりません。