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G7環境大臣会合

G7環境大臣会合 

G7サミットを前に札幌で開催

5月19日から21日、日本が議長国になり、広島でG7サミット(主要国首脳会議)が開催されます。今回のG7サミットでは、ロシアによるウクライナ侵略問題や「自由で開かれたインドネシア太平洋」をめざす課題への対処、また、核軍縮・不拡散、エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、気候変動問題などの課題についてどのようにG7諸国が連携・対処していくのかについて意見交換を行うことが予定されています。

これに先立ち、環境・エネルギー分野の政策について調整を行うために、気候・エネルギー・環境大臣会合が4月15日、16日、札幌市で開催されました。環境省の報道発表資料をもとに、会合の概要を紹介します。<詳細は環境省のホームページで確認してください。>

 

<会合の概要>

・経済成長とエネルギー安全保障を確保しながら、ネットゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ経済の統合的な実現に向けたグリーントランスフォーメーションの重要性を共有。

・全ての部門・全ての主体の行動の必要性を確認。

・バリューチェーン全体の変革と、これに向けた情報開示等の企業の取組の重要性を共有。

・政府による率先行動。非政府主体(都市・地方自治体)の行動を推進・支援。

・2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心に合意(大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの2050年からの10年前倒し)。

・NDC及び長期戦略が1.5℃目標、2050年ネットゼロと整合していない国(特に主要経済国)に対し、排出削減目標の強化、2050年ネットゼロを呼びかけ。全ての分野、温室効果ガスを対象にすることを要請。

・締約国に対し、2025年までの世界全体排出量のピークアウト等へのコミットの呼びかけ。

・各国の事情に応じた多様な道筋を認識しつつ、それらがネットゼロという共通目標に繋がることを強調。

・安全性、エネルギー安全保障、経済効率性及び環境(S+3E)を同時に実現することの重要性を再確認。

・エネルギー安全保障、気候危機、地政学的リスクに一体として取り組むことにコミット。

・排出削減と経済成長の両立を実現するシステム変革の重要性を強調。

・産業の脱炭素化の重要性の再確認と具体的行動の共有。

 

 今回の会合で確認された「コミュニケ」は92の項目から構成されています。そのなかから「循環経済・資源効率性」に関わる5項目を紹介します。

 

31. 循環性及び資源効率性の強化を通じた三つの地球規模の危機への対処:経済成長と環境劣化や一次資源の利用とのデカップリングの重要性を強調し、科学的データと知見に導かれたバリューチェーン全体における資源効率性及び循環性の向上が、一次資源の利用を減じ、三つの地球規模の危機に取り組む我々の努力を支援することを強調する。我々は、ライフサイクル・アプローチを踏まえた製品設計の強化、ライフサイクル評価、適切な場合には拡大生産者責任のスキーム等を含み得る様々なアプローチを通じ、バリューチェーンにおける循環性を高めるための幅広い政策措置と民間セクターとの協力を強化することによって我々の経済がより循環性及び資源効率性の高いものとなるよう努力する。我々は、野心的な気候や環境目標の実現のために資源効率性や循環経済の可能性を活用するべく協力する。

32. G7資源効率性アライアンスの下の協力:G7資源効率性アライアンスによる関連会合及びワークショップの開催を含む活動を評価する。我々は、アライアンスが、ベルリン・ロードマップを基礎とし、特定された影響が大きいバリューチェーンにおける資源効率性と循環性の向上を通じた気候・生物多様性・汚染にかかる便益など、ロードマップに挙げられた特定の活動において、G7メンバー間の協力と行動を強化するよう要請する。我々は、一次資源の使用量削減と廃棄物の最小化へのコミットメントを再確認し、食品ロスや廃棄物を含む廃棄物部門から2050年までのネット・ゼロに向けた努力を強化し、アライアンスによる関連ワークショップに期待する。

33. 循環経済・資源効率性原則:企業は、そのバリューチェーンを通じて、資源効率性及び循環経済アプローチの推進に重要な役割を果たすことができる。その重要な役割を認識し、我々は、企業が循環経済に関するイニシアティブの確立と行動の強化を招請し、政府および金融セクターとの協力を促進し、レジリエンスと競争力を強化し、循環経済及び資源効率性の自主行動を促進し、持続可能で包括的な経済成長と雇用創出を支援するため、添付された循環経済・資源効率性原則(CEREP)を採択する。我々は、本原則の活用と官民連携の促進のため、B7や他の民間ステークホルダーの関与及び協力を期待する。

34. バリューチェーン全体の循環性に関する透明性の向上:我々は、経済のレジリエンスと自律性に資する、資源効率及び循環性を高め環境への悪影響を最小限に抑える努力を続け、一次資源の利用削減が急務である旨を認識し、製造業者とリサイクル業者を始めとする主体間の連携を進め、3R(リデュース、リユース、リサイクル)及びその他の経済価値を維持するプロセスの強化に向け、循環性及び環境影響を測定し、バリューチェーン全体でデータを共有・活用する重要性を強調する。G7メンバー間のより良い連携がこのようなシステムの有効性を高めることを認識し、我々は、G7資源効率性アライアンスを通じた協力により、循環性の計測、バリューチェーン全体における循環性に関する情報の共有と活用、及び比較可能な指標に関する議論と調整を促進する。

 

35. 国際協力:我々は、G20資源効率性対話を含む二国間・多国間における国際協力を拡大し、気候変動、生物多様性の損失及び汚染に対応するため、G7内外の経済における資源効率性及び循環性向上のために連携を促進する。我々は、中低所得国が彼らの経済の資源効率性と循環性を向上させるとともに、環境上適正な材料・化学物質・廃棄物管理の喫緊のニーズに対応するため、ファイナンス・技術協力や民間投資を通じた支援の必要性を認識する。我々は、環境目標を達成するための手段として資源効率性と循環経済を強化するための資金を動員し、このアジェンダを主流化する上での、MDBs及びその他の金融機関が果たす重要な役割を認識し、一貫した行動を確保し相乗効果を高めるため、資源効率性及び循環経済のアプローチをそのポートフォリオに統合することを求める。