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蛍光灯の製造・輸出入禁止へ

水銀に関する水俣条約・第5回締約国会議

2027年末で

蛍光灯の製造・輸出入禁止へ

 「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議が、このほどジュネーブで開催されました。

 伝えられている情報によれば、会議では、直管蛍光灯について2027年末までに製造・輸出入を禁止することで合意したとのことです。電球型蛍光灯は、すでに2025年末での製造・輸出入禁止が決まっていますので、これで一般の照明用蛍光灯はすべて禁止に向かうことになります。ただし、製造・輸出入は禁止されますが、28年度以降も蛍光灯を使用することや、在庫品の販売を行うことまでは禁止されていません。

 

 また、水銀を使用したボタン電池や化粧品、水銀含有触媒を使用するポリウレタンについても25年末までに製造・輸出入を禁止することで合意したとのことです。

 水銀で汚染された廃棄物の基準値についても検討され、15ppmとすることが確認されています。

 これらの決定は、水銀による環境汚染を防止するうえで有効なものであり、水銀に関する国際交渉が一歩前進したと評価できます。

 

 しかし、水銀による環境汚染の最大の問題としてこれまでから論じられてきた小規模金採掘現場での水銀使用の規制については具体的措置をとることができないまま、今後の課題とされてしまったようです。現場労働者、周辺地域の住民の健康への影響が懸念されている問題であり、踏み込んだ具体的措置がとれなかったのは残念なことです。

 

 今回も「ノーモア水俣」を訴える水俣病の関係者が現地でアピールを行ないました。「水俣病被害者互助会」の代表は、水俣病の原因となった水銀の被害根絶を願い「世界の人たちにもっと水銀の怖さを知ってほしい」と呼びかけたと報じられています。

 

 今回の確認をうけて、日本政府がどのような国内対策を具体化・推進するのか、注目しなければなりません。

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 「水銀に関する水俣条約」は2013年10月に熊本県で開かれた外交会議で採択されたもので、既に電池や体温計などの水銀含有製品の製造・輸出入を原則禁止しています。今回の第5回締約国会議では、例外的に禁止対象から除外されていた製品のうち、水銀含有量の少ない直管蛍光灯などについて製造・輸出入を禁止する時期の合意などをめざしていました。