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2024を展望する

2024を展望する

新しく迎えた2024年、どんな年にしなければならないのか―。いくつかの課題から考えてみます。

気候危機打開

「地球沸騰化」といわれる気候危機を打開するために、昨年秋のCOP28(気候変動枠組条約第28回締約国会議)は「化石燃料からの脱却」の合意に到達しました。

2024年は、この合意をもとに社会・経済のあらゆる分野での脱炭素化にむけた取組みをすすめなければなりません。

しかし、COP28の場で明らかになったように、日本政府の対応は世界の流れに比べてまったく立ち遅れています(2回も化石賞!)。

COP28の合意をふまえた、エネルギー政策の転換、住宅分野や交通分野などでの思い切った政策的な取組みを期待したいものです。

COP29は2024年11月、アゼルバイジャンで開催されます。ここで日本政府の明確な取組み方向を示すことができるように、日本政府は新たなCO2削減目標の設定、エネルギー計画の見直しなどに、ただちに取り組みを開始すべきです。

地方自治体も、このような動きを後押しできるような地域発の脱炭素社会づくりをすすめる必要があるでしょう。

プラスチック汚染対策

「プラスチックによる海洋汚染対策はまったなし」ということではじまったプラスチック条約交渉ですが、昨年秋の第3回交渉会議では、条約案が示されたものの本格的議論ができずに終わっています。

2024年が、この分野でも大きな転換点になったといわれるようにしなければなりません。しかし、生産から廃棄に至るまで、すべての段階でのプラスチックを対象にした本格的な取組みにむかうことができるか、まだ各国の姿勢は隔たっています。日本がこのなかでどのようなポジションをとるのかについても明確になっていません。この機会に日本のサーキュラー・エコノミー(循環経済)への道が切り開かれることを願いたいものです。

第4回交渉会議は4月にカナダで、第5回交渉会議は秋に韓国で予定されています。

くらしと経済

 「失われた30年」といわれるように、1990年代のバブル崩壊以後、長期にわたって日本経済は停滞するなかで、国民のくらしは、雇用の不安定化にともなう賃金引下げ、税・社会保障費負担増などによりきびしい状態が続いています。

加えて、この間の物価高にともなう負担も異常なものがあります。

老後の生活資金不足も深刻な問題になっています。また、奨学金返済に苦しむ若者も少なくありません。

 これから人口減少にともなう社会・経済への影響も本格化することでしょう。

このようななかで、2024年が、くらしと経済をめぐっても、国民にとって希望が持てる展望が切り開かれる年になることを期待します。

政治

これらの問題を考えるとき、政治の責任とか、政治の役割ということを強く考えざるをえません。しかし、日本の政治の現実を見る時、その「ゆきづまり」感を強くします。また、政治不信もつよまっています。

2024年、国民が主権者として発言し行動していくことがますます重要になっています。

京都では市長選の年です。どのような京都市政をめざすのがよいのか、考え合う機会にしましょう。

京都循環経済研究所は・・

<調査研究>

・「気候変動」「プラスチック条約問題」を中心に調査研究をすすめます。

・今年は「気候変動対応と環境ISO」を特別なテーマとしてかかげます。

<情報提供>

・ニュース「循環経済」の発行を継続します。発行の目安は毎月1日、15日の月2回発行とします。2024年度末までに200号到達を目標にします。

<バイバイ原発きょうと>

・バイバイ原発きょうとの活動に参加協力します。

<レイチェル・カーソン日本協会関西フォーラム>

・事務所(連絡先)をお預かりしているレイチェル・カーソン日本協会関西フォーラムの活動を支えていきます。今年はレイチェル・カーソン没後60年事業が準備されており、その成功をめざします。