気候変動問題ではCOP29(第29回気候変動枠組み条約締約国会議)がアゼルバイジャンのバクーで開かれました。
<期待されたこと>
今回のCOP29に期待されたことは2つ。
ひとつは、「パリ協定」が掲げる「1.5℃」目標との関係ではすでに目標を越える気温上昇が進行し、世界各地で、熱波、集中豪雨などの自然災害による被害が現実に発生し始めているなかで、世界の共通課題として脱炭素化対策をどこまで徹底できるかということ。
もう一つは、実際に起きている気候変動への対処、とりわけ被害防止、救済対策が必要になっているなかで、そのための国際的な資金をどのように準備していくのかということ。
<結果は>
会期を延長して最後まで交渉が続けられ、ギリギリのところで「合意」に達したとのことですが、伝えられている限り、温室効果ガスの排出削減、脱炭素化にむけての「追加策」としては見るべきものがなかったということのようです。
「資金」問題でも、先進国と発展途上国との間での溝は深く、ようやく2035年までに先進国の支援額を年3000憶ドルに拡大することで「合意」したとのことですが、これでは不十分だとの不満の声が多くの発展途上国からあがっていたと伝えられています。
もうひとつ、残念なことに、今回のCOP29においては、日本の存在感はほとんど感じられなかったとのことです。
また、アメリカ大統領選挙の結果が伝えられ、アメリカがこんごの交渉から離脱することについて懸念する声もあがっていたとのことです。
<残された課題>
結局、COP29に期待されたことがそのままこんごの課題になったのです。
すなわち、もはや限度をこえるところまできた気候変動との関係では、一刻も早く、世界の共通課題として脱炭素化対策を徹底するための取組みを各国がまさに「野心的」に開始しなければなりません。
「パリ協定」の目標達成に向けて、国別の温室効果ガスの排出削減目標を積極的に積み上げ、来年2月までに結集する必要があります。とくに、2050年目標を達成するために、2035年目標をどこまで積み上げられるか、具体的な議論と行動が求められています。
「資金」問題についても、どれだけの支援額にするのかということとあわせて、どの国がそれを負担していくのかについての実質的な協議が必要です。
<私たちがしなければならないこと>
●気候変動の現実について認識を深めることを基礎にしながら、COP29の結果とこんごの課題を学びあうこと
●日本の気候変動対策について、2035年をターゲットにした温室効果ガス排出削減目標を明確にするための議論と行動を開始すること
●気候変動対策はエネルギー政策と深く関わっていることから、当面の「第7次エネルギー基本計画」見直しについて注目し、声をあげていくこと