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プラスチック条約交渉 合意先送り

気候変動問題と同じく、プラスチックによる環境汚染も「待ったなし」の問題です。

この問題の解決をめざす国際的な取組みの枠組みになるプラスチック条約交渉が、11月25日から12月1日まで、韓国・釜山で行われました。

このプラスチック条約交渉は、2022年3月の国連環境総会での確認をうけて始まったもので、今回が第5回目になるものでした。

今回の交渉は、条約案をめぐって最終調整にはいる段階で迎えたとされていましたが、会期末までの交渉では合意ができず、先送りになってしまったとのことです。

今回の交渉に先立つカナダ・オタワでの第4回政府間交渉では、準備された条約案をめぐり、

1 条約の前文・スコープ・目的・原則

2 主要義務規定(一次プラスチックポリマー、懸念のある化学物質・ポリマー、問題があり回避可能なプラスチック製品、製品設計、拡大生産者責任(EPR)、廃棄物管理等)

3 条約の実施手段・措置(資金・技術支援、国別行動計画等)

など、分野ごとに議論が行われ、事務局において条文案をまとめ、第5回交渉の交渉文書とし、2024年末までの作業完了にむけて努力していくことが確認されていました。

こうして迎えた今回の第5回交渉では、いろいろな協議がされましたが、最終的に、プラスチックの生産から消費、廃棄まであらゆる段階での対策が求められるなか、対策の根幹となる具体的な生産抑制の数値目標、年度目標についての調整がしきれなかったとのことです。

この問題は緊急な課題であるにもかかわらず、実際に国際的な合意を形成するとなると簡単ではないようです。

いずれにしてもプラスチック問題の解決のためには、各国ごとの取組みと同時に、国際的な取組みが必要です。そのための基本的な枠組みを作るために、法的拘束力を持つ世界共通ルールと対策を盛り込んだプラスチック条約が必要です。

こんごの交渉がどのようにすすめられるのか、ひきつづき注目していかねばなりません。

 

また、この問題について日本政府が積極的な役割を果たしていくように求めるとともに、日本の国内でのプラスチック問題に関する意識啓発、問題解決に向けての具体的な行動をすすめていくことが求められています。