新しく迎えた2025年、どんな年にしなければならないのか。
いくつかの課題から考えてみます。
気候危機打開
深刻化する気候危機を打開するために、昨年秋、COP29(気候変動枠組条約第29回締約国会議)が開催されました。焦点となった「気候資金」問題については「合意」に達したというものの、気候変動対策については有効な「追加策」をまとめることが出来ませんでした。会議としては「失敗」との評価もみられます。当面、2月までに各国別のCO2削減目標が集約されることになっており、どのようなものになるのか注目されます。
このようななかで、世界の流れに比べて立ち遅れが目立つ日本政府の対応が問われるのですが、伝えられるところでは2035年の目標について「60%削減」とするとのことです。
また、これと連動する「エネルギー基本計画」案についても検討がされていましたが、焦点となっていた2040年度の電源構成の見通し(目標)は、再生可能エネルギー4~5割、火力3~4割、原子力2割程度となっています。
2023年度の速報値(再生可能エネルギー22.9%、火力68.6%、原子力8.5%)に比べると、再生可能エネルギーの構成比を高め、火力の構成比を下げていますが、原子力は、原発の実際の運転利用状況からすると、原発の利用・活用を推進する目標を掲げることになります。また、注目すべきなのは、これまで掲げられていた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を削除したことです。
これでは、問題解決にはなりません。
CO2削減目標の思い切った引き上げとあわせて「エネルギー基本計画」の根本的な見直し・検討が必要でしょう。
地方自治体も、地域発の脱炭素社会づくりをすすめるための取組みをすすめる必要があるでしょう。
プラスチック汚染対策
プラスチックによる環境汚染問題は、気候変動問題とともに深刻な環境問題です。
それは国内問題としてみれば廃棄物の削減・適正処理の問題でしたが、国際的には有害廃棄物の越境移動、海洋汚染問題などとしてとりあげられてきました。とりわけ、近年、プラスチックによる海洋汚染問題は、このまますすむと2050年には海洋生物の重量を上回るプラスチックが海洋に散乱し、さらにはごく微小のプラスチックが魚介類の食物連鎖を通じてかつて話題になった「環境ホルモン」作用のような影響を及ぼすかもしれないと警告されているのです。
この問題の解決をめざすプラスチック条約交渉が、11月25日から12月1日まで、韓国・釜山で行われました。今回の交渉は、条約案をめぐって最終調整にはいる段階で迎えたとされていましたが、会期末までの交渉では合意ができなかったとのことです。今後、再開会合を開催し、交渉が継続されることになりますが、この問題が緊急な課題であるにもかかわらず、実際に国際的な合意を形成するとなると簡単ではないことを示すものとなりました。
プラスチック問題の解決のためには、各国ごとの取組みと同時に、国際的な取組みが必要です。そのための基本的な枠組みを作るために、法的拘束力を持つ世界共通ルールと対策を盛り込んだプラスチック条約が必要です。
こんごの交渉がどのようにすすめられるのか、ひきつづき注目していかねばなりません。
くらしと平和
この間、「物価に追いつく賃上げを」「手取りを増やす」などの「掛け声」が目立ちましたが、国民のくらしの現実はきびしい状態が続いています。とりわけ、この間の食品をはじめとする物価高にともなう負担は異常なものがあります。
老後の生活資金不足も深刻な問題になっています。また、奨学金返済に苦しむ若者が少なくないなかで、学費値上げ問題も重要な問題になっています。
くらしを豊かにするために、経済・財政政策の根本からの見直しが必要です。
このようななかで、2025年が、平和をめぐっても、国民にとって希望が持てる年になることを期待します。日本被団協のノーベル平和賞受賞を機に、核兵器廃絶を求める声を高めることが必要です。
政治
これらの問題を考えるとき、政治の責任とか、政治の役割ということを強く考えざるをえません。国際的にも、日本においても、政治の流動化がすすみ、こんごの見通しがもちにくいとされていますが、そのなかで、国民が主権者として発言し、行動していくことがますます重要になっています。
京都循環経済研究所は・・
<調査研究>
・「気候変動」「プラスチック条約問題」を中心に調査研究をすすめます。
・PFAS汚染問題の情報収集・提供につとめます。
<情報提供>
・本紙「循環経済」は200号到達が目前です。これを機に、編集内容、ページ数、発行度数などの見直しを行います。
・ホームページの情報充実にも努力します。
<バイバイ原発きょうと>
・バイバイ原発きょうとの活動に参加協力します。
・今年は3月8日に円山音楽堂で「バイバイ原発きょうと」の行事が予定されています。
<レイチェル・カーソン日本協会関西フォーラム>
・事務所(連絡先)をお預かりしているレイチェル・カーソン日本協会関西フォーラムの活動を支えていきます。
・今年はレイチェル・カーソンの著書「センス・オブ・ワンダー」出版60年記念事業が準備されており、その成功をめざします。